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2025.06.19 17:00

金市場に残されるは、20%値下がり前「パーティーの最後の1杯」 投資銀行シティが警告

Shutterstock.com

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金に強気な者たちへの警告。金価格が20%の下落に向かう中、あなたのパーティーは、楽しみが終わる前の最後の一杯を飲むために十分な時間しか残されていない。

これは、投資銀行シティによる最新の予測である。加えてUBSも、過去3年間における最高の投資対象だったが、現在は上値が重い金価格の見通しについて、注意喚起を加えている。

2022年後半からは約108%、過去12カ月で45%上昇し、米国記事執筆現在、1オンスあたり3394ドル(約49万2000円)前後で取引されている金の価格は、経済成長の改善と利下げサイクルの開始がその重荷になると予想されている。

2025年4月に1オンスあたり3433ドル(約49万8000円)に達して以来、金価格は上昇に苦労した。6月13日にイスラエルがイランへの空爆を開始した先週末、一時的にその史上最高値に戻ったものの、今週は上昇の勢いを維持することができなかった。

UBSはオーストラリアの投資家に配布したメモの中で、金に強気な姿勢を維持しているものの、決算発表を控えた各鉱山会社の業績予測には「リスクがないわけではない」と述べた。

エボリューション売り、ニューモント買い

オーストラリア第2位の金鉱山会社であるエボリューション・マイニングの株価は、2025年に入ってから81%の上昇を見せた後、UBSによって「売り」評価へと格下げされた。

「バリュエーションの裏付けがなくなったため、エボリューションの目標株価を6.70豪ドルとし、『売り』評価へと格下げする」とUBSは述べた。この目標株価は米国記事執筆現在の価格よりも、約21.7%低い水準だ。

オーストラリア最大の金鉱山会社であるノーザン・スター・リソーシズに関しても、UBSはその評価を「中立」へと格下げした。しかし、同社の目標株価は現在の水準より9%ほど高い23豪ドルとなった。

米国を拠点とし、オーストラリアに上場している大手金鉱山会社のニューモントは、ビッグ3の中で唯一の「買い」評価となった。競争力のあるフリーキャッシュフローが、その主な理由だ。目標株価は105豪ドルとされ、これは現在の水準よりも17.4%程高い。

シティは、金への投資需要は今年後半から2026年にかけて衰え始めると見ている。

「短期的には、米国による(英国、中国、日本、インド、欧州との)貿易取引と、(景気刺激策となる)『One Big Beautiful Bill Act』の可決が市場心理を改善し、そのことが金の大幅な上昇を止めるだろう」とシティは述べている。

「『One Big Beautiful Bill Act』が成立することによる税収減の大部分は、関税収入で賄われることが想定されているため、2025年から2026年にかけて債券自警団の動きが活発化するとは考えにくい」

「さらに、今後6カ月から9カ月の間に、米連邦準備制度理事会(FRB)による制限的な金利政策がより中立的なものとなり、そのことが米国と世界経済の市場心理を強化する余地があると見ている」

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翻訳=江津拓哉

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