アジア

2025.06.12 15:00

タイ電力大手が「1500億円規模のデータセンター」建設、デジタルハブ目指す動き

Shutterstock.com

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タイの大手電力会社Bグリムパワー(B.Grimm Power)は、東南アジア地域で急拡大する人工知能(AI)関連の需要に対応するため、シンガポールのデジタルインフラ企業デジタルエッジと提携し、10億ドル(約1450億円。1ドル=145円換算)規模のデータセンターをタイで建設すると発表した。

東南アジア全域のAIおよびクラウドサービス事業者を支援

両社は合弁会社「デジタルエッジBグリム」を設立し、タイ各地でデータセンターを建設する予定。その第1弾として、バンコク中心部から南東へ約100kmに位置するチョンブリー県に96メガワット(MW)のデータセンターを建設すると両社は6月9日の声明で明らかにした。

「デジタルエッジとの協業は、タイのデジタルな未来への取り組みにおいて、重要な節目となる」と、Bグリムパワーのグループ会長であるハラルド・リンクは声明の中で述べている。「再生可能エネルギーと最先端のデータセンター技術を組み合わせることで、私たちはタイのAIおよびクラウドイノベーションハブへの変革を支援する」と彼は続けた。

エネルギーや不動産、輸送、ヘルスケア関連の事業を展開するタイ有数のコングロマリットであるBグリムは、このデータセンターの株式40%を取得する。この施設は、東南アジア全域のAIおよびクラウドサービス事業者を支援することになる。

「タイは、アジアで最も注目すべきデジタル分野の成長市場のひとつだ。AIや機械学習の需要が急増する中、我々のタイ進出は、この国のデジタルのイノベーションに投資する上で絶好のタイミングとなった」と、デジタルエッジのジョン・フリーマンCEOは語った。

タイ政府は、3月にも総額3915億円相当の3プロジェクトを承認

ニューヨーク拠点のプライベート・エクイティ企業ストーンピークパートナーズが出資するデジタルエッジは、公式サイトによれば、中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国でデータセンターを運営している。

タイ政府は、東南アジア地域のデータセンター・ハブになることを目標に掲げており、3月に総額27億ドル(約3915億円)相当の3件のプロジェクトを承認した。その中には、中国の北京浩阳による300MWの施設や、タイの富豪サラット・ラタナワディのガルフエナジー、現地の通信会社アドバンスト・インフォ・サービスとその提携先のシンガポール・テレコムによる35MWの施設が含まれている。

また、バイトダンス傘下のTikTok、アルファベット傘下のグーグル、マイクロソフトといったグローバルのハイテク大手もタイで新たなデジタル施設の建設を進めている。

フォーブスは、Bグリムパワーを率いるリンクの保有資産を12億ドル(約1740億円)と試算している。彼の祖父は、1878年にサイアム薬局として創業された同社を1914年に買収した。リンクは、1987年から同社を率いており、現在は娘のキャロラインへの事業承継の準備を進めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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