Airbnb Japanは6月3日、空き家だった古民家などの日本の伝統的な家屋を再生し、宿泊施設として提供する「Akiya Design Project」を始動させることを都内で発表した。会場では、Airbnb 共同創業者 兼 CEOのブライアン・チェスキーと、プロジェクトのクリエイティブ監修を手がけるモデルで俳優の水原希子、タレントのローラが登壇した。
総務省が昨年4月に発表した調査結果によると、日本の空き家の数は高齢化や相続問題などを背景に増え続け、900万戸に達した。今後10年ほとで3軒に1軒が空き家になると予測されており、問題は深刻化している。Airbnb Japanはこれまでも全国古民家再生協会と協力し、日本の伝統遺産である古民家の再生に取り組んできた。
CEOのブライアン・チェスキーは日本の市場について、「まだまだ私たちにとって始まったばかりであり、これからの市場。今世界で最も急速に伸びている」とした上で、今回のプロジェクトの意義は2つあると述べた。1つ目にあげたのは、空き家として存在するスペースの活用だ。
「日本では旅行者が増え、宿泊場所が必要になっている。900万戸以上ある空き家と宿泊先を探している人々を、マッチングさせられると考えている」（チェスキー）
さらに、2つ目は日本がもつデザインと文化の力だと説明。「空間に新たな息吹を吹き込むような、素晴らしいデザイナーや素晴らしいビジョンをもった方々とご一緒させていただくことができれば、デザインや文化の力で、記憶に残るような体験を提供できると考えた」（チェスキー）
世界で活動し、日本を愛する2人が引き立たせる古民家の価値
アメリカ人の父と、日本生まれの韓国人の母との間に生まれた水原、そしてバングラデシュ人の父と日本・ロシアのハーフである母をもつローラ。2人は国際色豊かなバックボーンをもち、世界を舞台に活動しつつ、日本の魅力に着目し、発信している存在だ。
日本の自然素材に着目したウェルネスブランドを手掛け、日本で古民家の購入を検討していたこともあるという水原は今回、茨城県古河市にある築150年以上の伝統的な日本家屋の宿泊施設を監修する。かつて武士が住んでいた邸宅は、約10ヘクタール（東京ドーム2個分）にも及ぶ広大な敷地に横たわり、趣ある母屋と堂々たる門構えが存在感を放つ。
水原は「今後、おそらくもう作られることのないデザインや細工、木の素材など、そういうものも含めて、古民家にはさまざまな美しさがある」とコメント。「本当に歴史ある素晴らしいお宅。宿泊された方に、日本のことを好きになってもらえたり、日本の文化を感じらてもらえるように魅力的なエッセンスを散りばめていきたい」と意欲を見せた。
一方、「海外にいたからこそ、日本家屋のかっこよさ、魅力に気づいた」と話すのはローラだ。京都府亀岡市にある、明治から平成にかけて四世代にわたり瓦職人の仕事場として使われていた、築70年の家屋の宿泊施設を監修する。
茶道や華道をはじめ、日本の伝統文化を追求する様子をSNSで伝え、今春から新潟で米作りなどの農業を学んでいるローラは、今回のプロジェクトへの思いを、次のように語った。
「私たちが今ここで生きられているのも、昔の人たちのつながりがあるから。そしてその人たちが作ってきたお家が、このたった100年ですごく変わろうとしている。その変化も美しいけれど、今まで作られてきた日本家屋の魅力をもう一度見直して、一緒に守っていったり、もっと広げていったりできたら、昔の人たちへのリスペクトにもつながると思う」（ローラ）
