北米

2025.06.05 10:00

総費用約64億円のトランプの米首都軍事パレード、過去の例でも同様の批判

Joseph Sohm / Shutterstock.com

20万を超える人々が歓声を上げる中でパレードは3時間に及んだ。花火の打ち上げが終わるころには少なくとも80万人がポトマック川の両岸に集まり、この稀な行事を楽しんだ。これに負けじとニューヨーク市もその2日後にパレードを開催し、これまた花火が打ち上げられ、推定6000トン分の紙吹雪が舞った。ワシントンでのものとは違って、ニューヨークのパレードでは高層ビルが立ち並ぶ街中を戦車が走行することもなければ、軍用機が上空を飛ぶこともなかった。

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パレード中、わずかな抗議があった。反戦活動家らがパレードのルートから離れたラファイエット・パークでスピーチを行ったが、それだけだった。とはいえ、一部の報道機関がパレードの前後とその最中に、トランプのパレードを前にして現在繰り広げられているような批判を論説で展開した。

日刊紙インテリジェンサー・ジャーナルへのある寄稿は、パレードには「偉大な国家にふさわしい気品と威厳」が欠けていると主張した。「パレードを支持する人は、このパレードに匹敵するものがメーデーに開かれていた旧ソ連のパレードであることを考慮すべきかもしれない」とも書かれていた。ジャーナリストのドナルド・カウルは2つのパレード後に書いた論説で、パレードを「共和党のニュルンベルク集会」(編集注:ナチ党の党大会はドイツ・ニュルンベルクで開催されていた)と形容し、米国の人々が戦車に声援を送る様子は「アルゼンチンのようだ」と書いた。

批判的な人々は今日、トランプのパレードは「北朝鮮や旧ソ連、あるいは今日のロシアといった国々で見られるようなもの」と非難している。

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1991年のパレードの1200万ドル(現在の為替レートで約17億円)という費用も当時批判を浴び、大半はその金を教育に使ったほうがよいというものだった。

今回開催されるトランプのパレードの総費用4500万ドル(約64億円)には、重量のある戦車(エイブラムスは重いもので60トンを超える)による道路の損傷を修復するための1600万ドル(約22億円)が含まれている。軍はすでにパレードのルート上に鉄板を設置して損傷を最小限に抑えようとしているが、この対策だけでも推定300万ドル(約4億円)かかる。

当然のことながら、ワシントンの一般道を走るエイブラムスが道路を傷める可能性は1991年当時も問題視されていた。パレードに先立ち、技術者たちはポトマック川に架かるメモリアル・ブリッジが崩壊することなく、何両のエイブラムスを支えられるかを計算しなければならなかった。そして、一度に1両が時速約48キロメートル以下で走行するなら耐えられると結論づけた。

今、同じような計算が再び行われているに違いない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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