Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は6月号(4月24日発売)より、「リージェント」。バーボンらしくリッチなウイスキーなのかと思いきや、口に含めばフルーティでバランスのとれた味わいの1本だ。
素晴らしい製品や成果物に出会った際、「今までどうして思いつかなかったのか」と不思議に思うことがある。意外にもシンプルなアイデアや思考が成功を生み出す、いわゆるコロンブスの卵だ。
通常、原酒をブレンドすることがないバーボンの世界に、ジャパニーズウイスキーの“つくり分け”の概念をもち込んだ「LEGENT」もウイスキー界のコロンブスの卵だといえる。ホワイトオークの新樽で熟成させることが法律で定められているバーボンに、シェリー樽とワイン樽でそれぞれ熟成させたウイスキーをブレンド...... ここにはふたりのコロンブスならぬ、伝説的な人物がかかわっている。
ひとりは230年もの歴史をもつバーボン蒸留所「ジムビーム」の7代目マスターディスティラーであるフレッド・ノウ。そしてもうひとりは昨年ロンドンで行われた世界的な酒類コンペティション「IWC」でマスターブレンダー・オブ・ザ・イヤーに輝いたサントリー5代目チーフブレンダーの福與伸二である。ディスティラーとブレンダーという肩書が示すように、バックグラウンドを異にするふたりの技術が出会い、誕生した一本は、「ジムビーム」の伝統的なバーボンのノウハウと、サントリーの繊細なブレンディング技術が生んだ東西の叡智の結晶であるともいえる。
「まず印象的なのは、ノーズとパレットのいい意味でのギャップです。バニラやカラメルなど甘い香りに、バーボンらしくリッチなウイスキーなのかと思いきや、口に含めばフルーティでバランスのとれた味わい。多層的で複雑な余韻が長く続くのも魅力です。そのまま飲んでも、カクテルベースとしても、さまざまに楽しめるウイスキーだと感じました」と語るのは「オークラ東京」(東京・虎ノ門)の「オーキッドバー」でバーテンダーを務める岡部嵩大だ。
今回、岡部が「LEGENT」のためにつくった「浪漫」はバーボンでつくる定番カクテルである「オールド・ファッションド」をツイストしたオリジナル。ポートワインを少量加えることで「LEGENT」のシェリー樽やワイン樽による熟成から感じられるスパイスやフルーツ感を強調し、仕上げに桜チップをスモークした煙をグラスに満たすことでバーボンへのリスペクトを感じさせる。五感で「LEGENT」の世界を立体的に立ち上げてくれる一杯の誕生に、「こんなカクテルがどうして今までなかったのか」と、3人目のコロンブスに出会った気分だ。
リージェント

容量|750ml
度数|47%
価格|7200円(希望小売価格)
問い合わせ|サントリーお客様センター 0120‒139‒310 (平日9:30~17:00)
今宵の一杯はここで
オーキッドバー|「オークラ東京」のエスプリを感じさせてくれるバー


「オークラ東京」の象徴である蘭を名に冠したメインバー。かつての本館時代からの重厚な雰囲気とバーテンダーによる一流のサービスを継承し、レザーを張り替えながら使用しているソファや13mにも及ぶ神代ニレのカウンターが往時をしのばせる。世界的に希少なアイテムも含め、500種を超える豊富な洋酒のラインナップはホテルバーで随一。一度は訪れたい憧れのバーだ。

住所|東京都港区虎ノ門 2-10-4 オークラプレステージタワー 5F
電話|03-3505-6076
営業時間|15:00~24:00
休|なし