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2025.06.04 15:00

92%の従業員が「勤務中に転職活動」、生産性にまつわる茶番が企業に蔓延する理由 米国

earthphotostock / Shutterstock.com

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せっせと働いているフリをしながら、実際には意味ある仕事をほとんど、あるいはまったくしていない、という現象は新しいものではない。それは、管理職から突きつけられる要求にうまく対処しようとする従業員の作戦か、あるいは仕事を失うことへの不安から、自分が働いていることを必死で示そうとする結果だ。

こうした「働いているフリ」は、これまで「生産性劇場(productivity theater)」あるいは「静かな退職(quiet quitting)」と呼ばれてきたが、今はまったく新たな様相を帯びてきている。働いているフリをするばかりか、勤務時間中に転職先探しをするという動きだ。

なぜ「働いているフリ」をするのか

従業員が働いているフリをするのは、雇用主と従業員とのあいだの信頼感が薄れ、力関係における駆け引きが始まっている兆候だ。両者とも目立たない手段を駆使しながら、こうした駆け引きを行なっている。

雇用主の方はコロナ禍以降、ある種の静かな策略を講じ、「静かな人員削減」を行なったり、従業員を監視したりして、労働力の安定を図りながらビジネスニーズを満たすようになった。

従業員の方は、ちゃんと働いていることを「証明」しなければというプレッシャーを感じている。そして、反撃に打って出るために、ひそかな回避策を自主的に講じている。

たとえば、マウスを小刻みに動かして働いているフリをする「マウス・シャッフリング(mouse shuffling)」や、コーヒーを飲む程度の短時間だけ出勤したらすぐに帰宅して在宅勤務する「コーヒー・バッジング(coffee badging)」、仕事をしている感を装う「静かな休暇(quiet vacationing)」といった方法だ。

こうした状況に追い打ちをかけるように、働いているフリばかりか、勤務時間中に転職活動をしている従業員がいることが、最新調査で明らかになった。

履歴書作成ツールを提供するResume Now(レジュメ・ナウ)の最新レポート「Ghostworking Report」によると、従業員たちは生産的に働いているように見せかけたり、仕事をせずに職探しをしたりしており、生産性の危機が拡大している。この調査は、米国で働く労働者1127人を対象に2025年2月25日に実施されたもので、質問内容は時間を浪費する習慣や職場で注意散漫になる要因、仕事を先延ばしする頻度などについてだった。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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