経営・戦略

2025.06.02 08:00

現代自動車、アーリーステージのスタートアップ支援に向け130億円規模のファンド設立

Robert Way / Shutterstock.com

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韓国の自動車大手「現代(ヒョンデ)自動車」グループは5月26日、同社のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)部門の「ZER01NE(ゼロワン)」が第3号ファンドを立ち上げたと発表した。このファンドの規模は1250億ウォン(約130億円)で、アーリーステージのスタートアップを支援対象とする。

現代自動車は、ZER01NE部門を通じて人工知能(AI)やロボティクス、サイバーセキュリティ、水素エネルギーを含むエネルギー技術などの分野への投資を行っている。今回の3号ファンドは、起亜自動車や現代自動車証券、物流子会社の現代グロービス、部品メーカーの現代ウィアや現代モービスなど、現代グループの28の主要系列会社のうち10社からの資金提供を受けている。

「このファンドは、テクノロジー分野をリードする戦略的投資家としての当グループの地位を強化するものだ。革新的なスタートアップとの連携を深めることで、グループ全体にシナジーを創出し、未来を見据えた事業イニシアチブを加速させたい」と、現代自動車グループでZER01NEグループの責任者を務めるキース・ノー副社長は声明で述べた。

ZER01NE部門はこれまで、100億ウォン(約10億円)規模の1号ファンドと805億ウォン(約80億円)規模の2号ファンドの2つの取り組みを通じて、105社以上のスタートアップに投資。グループ内で、200件を超える協業事例を生み出したという。ノーによると、その一例が1号ファンドの支援を受けたEVバッテリーパックの修理・再生を手がけるスタートアップのPoen(ポエン)で、同社は2024年時点でグループ内の12モデルの合計約1500台の保証修理を行っていた。

2018年に設立されたZER01NEは、当初「クリエイティブ人材プラットフォーム」としてスタートした。また、この組織はこれまで195社が参加したスタートアップアクセラレーターの運営も行っている。

ZER01NEの投資先には、昨年10月にコスダック(韓国証券先物取引所KRXの新興株式市場)に上場した自律型ロボットの開発企業、Clobot(クロボット)や、ソウルとサンフランシスコに拠点を持つ製造業向け機械学習プラットフォームを運営するMakinaRocks(マキナロックス)が含まれている。MakinaRocksは、2020年のシリーズAラウンドで1000万ドル(約14億円)を、LG テクノロジーベンチャーズや、米ナスダックに上場する製造大手アプライドマテリアルズ傘下のApplied Venturesなどから調達していた。

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編集=上田裕資

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