数字に強い人は、ビジネスでよく使われる「平均」の意味を正確につかんでいます。大人のための数学教室を運営する堀口智之氏は、ちょっとしたコツをつかめば、誰でも大きな数字が扱えるようになるといいます。
“数学ギライ”でもわかる方法を、堀口の著書『仕事ができる人がやっている「ざっくり計算力」を身につける』(青春出版社)から、一部引用・再編集してご紹介します。
平均値は実態より大きくなりがち
データの特徴を表す値のことを「代表値」といいます。平均値は代表値としてもっともよく使われますが、データの特徴を正確に伝えられるとは限りません。データによっては、平均値の使用が適していないケースもよくあります。
たとえば、人口が100人しかいない村の平均年収を計算するとします。もしその村にトヨタ自動車の代表取締役会長、豊田章男さんが住んでいたら、平均年収はどうなるでしょう? 日本一平均年収の高い村になってしまいます。
このように、極端な外れ値が混じっていると平均値はそのデータに引っ張られるため、実態と乖離してしまいがちです。
代表値はこのほかにも、「中央値」(メジアン)や「最頻値」(モード)があります。中央値は、100人のサンプルならちょうど真ん中の人の年収です。

100人のようにデータの数が偶数の場合は、真ん中にいる2 人(50位と51 位)の平均になります。最頻値は、分布のうちのもっともデータ数が多い区間における、真ん中の値のことです。