経済

2025.05.30 08:15

トランプ関税による影響ジワジワ、日本企業のホンネは

GettyImages

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アメリカのトランプ政権による関税政策、いわゆる「トランプ関税」について、世界各国が戦々恐々としている。日本も例外ではなく、政府は追加関税の撤廃や軽減を求めて働きかけているが、まだまだ先行きは不透明だ。

そうした中、帝国データバンクは、「TDB景気動向調査」において「トランプ関税」に関する調査・分析を行い、その結果を公開している。

それによると、動向調査の回答者のコメントに「トランプ関税」に言及した割合を見てみると、2025年1月は1.2%だったが、徐々に増加し4月は12.3%と一気に増えた。

トランプ関税に対するコメントを寄せた企業の景況感を算出すると、4月の結果は、全体でも前月より0.8ポイント減となっているが、それよりもさらな4ポイント以上落ちている。これは3カ月連続で全体の景況感を下回っており、企業への悪影響が表れつつあるようだ。

企業から寄せられたコメント内容も分析したところ、「高騰」「価格」「関税」「トランプ」といったワードが頻出している。

すでに影響が出ている企業では「トランプ関税による先行き不透明感で企業の意思決定が鈍化 」(建築工事)、「トランプ関税ショックによる円高傾向と冷え込んだマーケットの影響を受けている」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)、「自動車メーカーの判断が遅く、アメリカなどの関税に振り回されており、新車開発が減っている」(専門サービス)などと回答。

今後の見通しとしても「トランプ関税などの政治的な施策の変更によって、インフレや株価下落などの恐れが高まり、消費が冷え込む懸念があるため」(金融)、「トランプ関税と物価高により民間工事が弱含みになっている」(土木工事)、「アメリカの政策による製造業の景況感悪化で出張客の減少が懸念される。また、為替が円高方向に向かうとインバウンドが減少する恐れがある」(旅館・ホテル)など、幅広い業界で懸念されている。

直近では、米中関税合戦の軟化など、同政策の方針が日々大きく変動しており、政府の交渉次第で大きく変わる可能性もある。企業は市場の動向に注視しつつ、的確な対策を講じていくことが求められている。

出典:帝国データバンク「TDB景気動向調査から見た「トランプ関税」に対する企業の意識分析」より

文=飯島範久

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