さりげなく、これ見よがしではないが、引き寄せられる時計がある。パルミジャーニ・フルリエのCEOが、愛好家から注目される理由を語った。
感度の高い時計愛好家から熱い視線を集めている時計ブランド「パルミジャーニ・フルリエ」。そのルーツはすご腕の時計修復師であり、“神の手をもつ時計師”と称されていたミシェル・パルミジャーニの工房にあったため、1996年のブランド発足当時から話題性は高かった。
しかし現在の人気は、2021年にグイド・テレーニがCEOに着任したことがきっかけであるのは間違いない。彼は国際的食品メーカーを経て、2000年から時計業界でのキャリアをスタート。2010年にラグジュアリーメゾンの時計部門のプレジデントとして辣腕(らつわん)をふるった。その時代に確立した、美しいデザインと高度な時計技術を融合させるスキームこそが、現在のパルミジャーニ・フルリエの躍進を支える中核となっている。
「私が2021年にパルミジャーニ・フルリエのCEOとなり、新しい戦略をスタートさせたとき、いち早くその価値を理解してくれたのが、日本の時計愛好家でした」とグイド・テレーニは語る。
あえて言うなら、パルミジャーニ・フルリエは、かなり“わかりにくい時計”だ。外観はきわめてシンプルで、スタイルは控えめ。しかしディテールや機構はとても複雑で、驚くほどの手間と時間をかけてつくられていることがよくわかる。その真価は、肉眼では見えない。キズミ(ルーペ)を通じて対峙したときに、その美しい世界に気が付き、ぐっと引き込まれてしまうのだ。
「控えめでこれ見よがしではない。しかし洗練していてプレステージ性もある。ラグジュアリーであることに対して思慮深く考える人たちに支持されており、さらに機構や素材に対するイノベーションが、そういった個性を強調しています」
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