中間管理職であるマネージャーたちは、オフィス復帰の義務化、大量解雇、関税の脅威、不透明な経済などの問題に囲まれながら、自分のチーム運営と、上役からのプレッシャーという2重の責務をやりくりしている。
米国の専門家たちは、いわゆる「除雪車マネージャー(Snow Plow Manager)」の増加は、こうしたプレッシャーが原因になっているのではないかと考えている。除雪車マネージャーとは、部下の障害になるものをすべて取り除こうと考え、部下に任せるべき仕事まで自分が抱え込み、うまくやろうとして燃え尽きてしまう傾向のあるマネージャーのことだ。
サポートするマネージャーと、除雪車マネージャー
筆者は2024年、「優れたマネージャーが決してやらない6つのこと」というテーマで、Forbes.comに記事を書いた。その6つとは、以下の通りだ。
(1)否定的なフィードバックばかり送る
(2)細かく管理する「マイクロマネジメント」
(3)人間味の欠けた関係構築
(4)不明瞭なコミュニケーション
(5)排他的な職場文化の構築
(6)心の知能(EI)を弱さと見なす
そこに7つ目として、「部下に任せない」を付け加えたい。調査会社Gallup(ギャラップ)のリポートによると、マネージャーは非管理職と比べて、ストレスや怒り、悲しみ、孤独の状況に陥る可能性がより高いという(驚くことではないが)。責任の重さの違いが存在するほか、2025年の今ではさらに、経済、政治、社会的状況の難しさがある。マネージャーの36%に燃え尽きの自覚があり、24%が半年以内の辞職を検討している点は、非管理職との比較で特筆すべきポイントだ。
従業員のストレス管理アプリを提供するmeQuilibrium(ミー・クイリブリアム)のリポートによると、しっかりサポートされている部下は、ストレスで身体症状が出る可能性が25%低くなる。さらに、朝にやる気を出すのが難しい可能性が33%、大きな職務ストレスを抱える可能性が56%、それぞれ低くなる。
マネージャーが心の健康をしっかりサポートすることで、燃え尽き症候群が広がる可能性が58%下がる。逆に、マネージャーによるサポートが十分でないと感じている部下は、離職リスクが4.5倍に跳ね上がる。
実は過干渉のケースがある
Owl Labs(アウル・ラボ)のフランク・ワイスハウプトCEOは、マネージャー自身はサポートしていると思っているが、実は過干渉の除雪車マネジメントに陥っているケースがあると考えている。マネージャーのストレスレベルが非管理職より55%も高いのはこのためだという。「除雪車マネージャーは、自分は役に立っていると思っているが、実際はチームの成長と成功を妨げてしまっている」と同氏は筆者に話してくれた。
「マネジメントの本当の成果とは、部下を支えて成長と成功を成し遂げさせることだ。マネージャーが終始、仕事に干渉していると、部下の大切な学習機会とスキルアップを否定することになる」とワイスハウプトは説明する。「そうなると、チームメンバーが独り立ちできなかったり、マネージャーが干渉しないと問題が解決されなかったりといった、危険な依存関係が生まれてしまう」。
リモートチームやハイブリッドチームのマネジメントについて、きちんと訓練を受けたマネージャーが62%にすぎないことを、ワイスハウプトは懸念している。この数字について同氏は、チームの成長を効果的に支える方法を理解していないマネージャーが多い、と解釈している。
こうしたマネージャーは、部下に常につきまとってマイクロマネジメントをしがちであり、仕事を任せきることがめったになく、結果として、自分がストレスをためてしまっているおそれがある。