経営・戦略

2025.05.19 10:15

企業文化の時代遅れに9割が危機感 あなたの会社は大丈夫?

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「企業文化」とは、社内で共有される価値観や経営理念などその企業らしさを表すものだが、単なる精神論ではない。社員のモチベーションや生産性のみならず、対外的な評価にも影響する大切な要素であり力でもある。そんな企業文化も、時代に合わせてアップデートしなければ形骸化して、かえって企業活動の足かせになってしまう恐れもある。はたして日本の企業は、企業文化をどう捉えているのか。古くさい文化を引きずっていないだろうか。

日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する月刊総務は、全国の企業に勤める人を対象に企業文化に関するアンケート調査を行い136人から回答を得た。それによると、ほぼ9割の人が企業文化の重要性を認識していることがわかった。

また、企業文化のアップデートの必要性を感じている人も8割を超える。理由としては……
「必要以上に伝統を重視しすぎることで、現代社会から置いていかれる懸念がある」
「環境に合わせて変化・進化できない企業は衰退する」
「変化の激しい時代では、社員が迷うことが多くなるので、常に社内に求心力を働かせる必要がある」
「社会の変化や時代の流れに合わせてより腹落ちする内容にするための見直しは必要であり、それが社員の意欲にもつながる」
といった意見が聞かれた。

企業文化が組織運営に与える影響を聞くと、75パーセントという圧倒的多数が従業員のエンゲージメント向上だと答えた。それに、会社のブランド力の強化、離職率の低下、採用競争力の向上などが続いている。

やはり企業文化は重要であり、それがよい影響力を発揮するようアップデートすることが大切だ。実際に企業文化のアップデートに注力している企業が効果ありと感じる施策のトップが、定期的な全社ミーティングだった。続いてリーダーシップ研修、社内SNSの活用などとなっている。

また、企業文化のアップデートで障害になるものを尋ねると、もっとも多かったのが経営層と従業員の意識の乖離で、部門間の連絡不足がそれに続く。

月刊総務はこの調査結果を受けて、企業文化のアップデートがエンゲージメント向上や離職率の低下などの経営結果に結びつくという認識が広がっていることは、「企業文化は単なる雰囲気ではなく戦略的な資産」として捉える傾向の表れだと指摘している。だが社内のコミュニケーション不足という構造的な課題が阻害要因であり続けていることから、「継続的な対話と可視化を通じた文化形成」が鍵になるということだ。MVV(ミッション・バリュー・ビジョン)の策定による文化の可視化もひとつの手段だろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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