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2025.05.28 18:30

インドネシアの家電大手ポリトロンがEV市場参入 電動バイクの生産経験武器に海外勢へ対抗

Hamed Studio / Shutterstock.com

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インドネシアの巨大財閥ジャルムグループ傘下の家電メーカー「ポリトロン」が5月6日、電気自動車(EV)市場に参入すると発表した。

ポリトロンは中国のEVメーカー「創維汽車(スカイワース)」との提携で開発した5人乗りSUV「G3」と「G3+」をそれぞれ、2億9900万ルピア(約260万円)と3億3900万ルピア(約300万円)からの価格で販売すると述べている。これらの価格は、バッテリーを月額のサブスクリプション制でレンタルする場合のもので、バッテリー込みのフルオーナー方式で購入の場合、価格はG3が4億1900万ルピア(約370万円)、G3+が4億5900万ルピア(約410万円)とされている。

ポリトロンは、インドネシアにおけるEV需要の高まりを背景に競争の激しい自動車業界に参入しようとしている。同国における昨年の自動車販売数は減少したものの、EVの販売台数は前年比152%増の4万3000台に達したと現地の証券会社ヴェルダナ・セクルイタス・インドネシアは報告している。

中国のEVメーカーは、インドネシアにおける需要の増加を見込んで積極的な拡大戦略を進めている。世界最大のEVメーカーであるBYDは、昨年初めに初のインドネシア向けの車両を発売し、ジャカルタの南東約100キロに位置する都市のスバンで、10億ドル規模の工場建設を進めている。

また、同じく中国のEVメーカー小鵬汽車(シャオペン)も、今年2月に現地の電子機器販売会社エラジャヤ・グループの支援を受けてインドネシア市場に参入した。

ポリトロンは、2022年から同国で電動バイクを販売してきた経験を強みとして、海外の自動車メーカーに対抗する構えだ。同社のSUV航続距離は最大約400キロメートルで、大型のサンルーフや12.8インチのタッチスクリーン型エンタメシステムなどといった機能を備えている。

ポリトロンのCEOのハリオノは、声明でこう述べている。「当社は、創立50周年の節目を迎えるにあたり、インドネシアの家族の体験をより良いものにしたいと考えている。人々の日常の移動のイノベーションにおいては、テクノロジーのみならずアクセスのしやすさが重要だ」。

1975年創業のポリトロンは現在、インドネシアの中部ジャワに3つの製造工場を持ち、冷蔵庫やエアコン、テレビなどの電化製品を製造している。ジャルムグループ傘下の同社は1万人以上の従業員を抱える企業で、インドネシア国内に19の事業所と61のサービスセンターを展開している。

ジャルムグループを率いるロバート・ブディとマイケル・ハルトノの兄弟は、フォーブスが2023年12月に発表した「インドネシアの長者番付」で、保有資産503億ドル(約7.3兆円)で1位にランクインしていた。彼らの事業領域は、銀行からたばこ栽培、不動産事業など多岐にわたり、インドネシアのEコマース大手「ブリブリドットコム」を運営するグローバル・デジタル・ニアガにも出資している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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