米AP通信と米CNNは7日、米国のドナルド・トランプ大統領が「ペルシャ湾」の呼称を「アラビア湾」に変更する意向だと報じた。匿名で取材に応じた政権高官は、同大統領が来週の中東訪問に合わせて発表する予定だと明らかにした。
これを受け、イランのアッバス・アラグチ外相は米短文投稿サイトのX(旧ツイッター)に「これに関連するいかなる近視眼的な措置も、法的・地理的な効果や有効性はない。あらゆる階層のすべてのイラン人の怒りを買うだけだ」と投稿し、強く反発した。
トランプ大統領は6日、中東訪問を前に「非常に大きな」そして「本当に前向きな」発表をすると予告したが、具体的に何を意味するのかは分かっていない。フォーブスは米ホワイトハウスに取材を申し入れたが、現時点までに回答は得られなかった。
かつて「ペルシャ」と呼ばれていたイランでは、同国とサウジアラビアを隔てる海域の名称をペルシャ湾のままにすることを強く主張している。一方、アラブ諸国の多くは同海域をアラビア湾と呼んでいる。同海域は、アップルの「マップ」では「ペルシャ湾」と表示され、Googleマップでは「ペルシャ湾(アラビア湾)」とされている。イランは、トランプ大統領が第1期の任期中にペルシャ湾の呼称変更を提案した際にも激しく反発していた。
トランプ大統領は今年先に、「メキシコ湾」の名称を「アメリカ湾」に変更する大統領令に署名した。だが、この変更は米国内のみに有効で、世界でどのように呼ばれるかについては同大統領の権限は及ばない。同大統領令により、米内務省は地名情報システム内の海域の名称を変更した。
トランプ大統領はこのほかにも、カナダやグリーンランド、パナマ運河を領有したいと表明するなど、世界各地で領土問題を巡る物議を醸している。