イーロン・マスクとテスラ取締役会のトップは、同社の取締役会がマスクの後任CEOを探していると伝えた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を強く否定した。
WSJは米東部時間4月30日夜に、テスラの投資家が、マスクがトランプ政権の仕事に費やす時間が多すぎることに「苛立ち」を募らせる中で、同社の取締役会メンバーがリクルート会社と接触し、マスクの後任探しを開始したと報じた。
WSJの記事は、事情に詳しい匿名の関係筋の話として、取締役会がこの期間中にマスクと会い、テスラにもっと時間を割いて、そのことを公にするよう求めたと報じていた。
テスラ取締役会のロビン・デンホルム会長は5月1日早朝に同社の公式X(旧ツイッター)アカウントに投稿した声明で、この報道が「まったくの事実無根だ」と否定し、この件を記事公開前にWSJに伝えていたと語った。
デンホルム会長によると、マスクは引き続きテスラのCEOであり続ける予定で、取締役会は、今後もエキサイティングな成長計画を遂行していくマスクの能力に「強い信頼を寄せている」という。マスク自身もまた、自身のXでWSJが「意図的に虚偽の記事を掲載した」と述べて、「極めて悪質な倫理違反」だと激しく批判した。
WSJは、コメント要請にマスクは応じなかったとしているが、マスクはテスラの取締役会が記事の公開前に「明確に否定した」にも関わらず同紙がそれを掲載しなかったと主張している。
マスクは先週、テスラが非常に厳しい内容の第1四半期決算を発表した後の決算説明会で、投資家に対し「来月からはテスラにより多くの時間を割く」と述べていた。マスクのこの発言を受け、テスラの株価は、決算内容が悪かったにもかかわらず急反発していた。
テスラが22日に発表した第1四半期の売上高は、2022年第2四半期以降で最低に落ち込んでいた。この四半期はまた、2021年第1四半期以降で最も利益率が低い四半期でもあった。テスラは4月上旬に第1四半期の納車台数が33万7000台だったと発表したが、これはアナリスト予想を17%も下回る台数だった。
ウェドブッシュ証券のアナリストであるダン・アイブスは、30日のXへの投稿でWSJの報道をめぐる動きについてコメントし、「非常に緊迫した状況ではあったが、マスクは明確に正しい対応をしたと考えられる。彼は、少なくとも今後5年間はテスラのCEOであり続けると我々は予想しており、取締役会がマスク解任の方向性を維持しているとは考えにくい。取締役会は警告の一撃を放ったのだ」と述べた。
テスラの株価は年初から約25%下落している。