フォーブスが4月14日に発表した2025年版「韓国の富豪50人」ランキングの21位に初登場したのが、刺激的な辛さで知られるインスタント麺「ブルダック炒め麺」を大ヒットさせた食品メーカー、三養（サムヤン）食品の副会長であるキム・ジョンスだ。彼女は、夫で同社の元会長であるチョン・インジャンとともに推定13億ドル（約1900億円）の資産を保有している。
サムヤン食品の株価は過去1年で265%急騰したが、その原動力となったのが韓国語で「火の鶏」を意味する激辛インスタントラーメンの大ヒットだった。このラーメンを考案したキムは、1998年に夫のチョンの父が創業したサムヤン食品に入社するまでは専業主婦だったという。彼女は、ソウルのブルダック（鶏の激辛炒め）のレストランに行列ができているのを見て、2012年に激辛ラーメンを同社の新商品として考案した。
サムヤン食品の「ブルダック炒め麺」はその後、BTSのメンバーがファンだと公言したことで、SNSを中心に支持を広げて大ヒットを記録。同社の売上高は、2024年に前年比45%増の1兆7000億ウォン（約1700億円）に達し、純利益は114%増の2710億ウォン（約271億円）を記録した。
米国や中国を中心とするサムヤン食品の海外での売上高は、ここ1年で倍増し、今では全体の半分を占めるまでに拡大している。
しかし、キムと夫のチョンは2020年に約50億ウォン（約5億円）の会社の資金を横領した罪で有罪判決を受けていた。無罪を主張したキムは執行猶予付きの判決を受けたが、夫のチョンは3年間服役し、現在も脱税容疑に関する裁判を控えている（本人は無実を主張）。夫妻の息子でコロンビア大学を卒業したジェフリーは現在、キムの後継者になるための準備を進めている。
