サイエンス

2025.04.03 17:30

驚異の体長12m「クジラも捕食」していた超巨大ウミヘビが教えてくれる真実

Getty Images

独自の生理学的特徴と「原始的」な適応

パラエオフィス・コロサエウスは巨大な体でありながらも、原始的な特徴と固有の特徴を併せもつ点が興味深い。現代のウミヘビが細い流線形の体をしているのと異なり、その椎骨は驚くほど頑丈で幅広だ。

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この「原始的」な形態は、水中生活に適応しながらも、高速での水中移動には充分に最適化されていない身体構造だったことを示している。神経弓(椎骨にあるアーチ状の骨)をはじめ幅広の椎骨の構造は、パラエオフィス・コロサエウスが現生のウミヘビとは異なる泳ぎ方をしていた可能性を示唆している。

パラエオフィス・コロサエウスは、現生のウミヘビに見られる滑らかでクネクネとした動きではなく、大きな体と筋力を利用して移動したり、獲物を待ち伏せして襲ったりしていたのかもしれない。さらに骨の血管構造についての研究から、多くの現生種のヘビと比較して成長速度が速く、代謝が高かった可能性が示唆されている。

こうした固有の生理学的特徴は、初期のウミヘビがたどった進化の過程についてヒントを提供している。パラエオフィス・コロサエウスは、進化におけるひとつの「実験」を表す存在のようだ。後世のウミヘビでは完全な流線形の体が主流となったが、一方でかつてはより一般的で頑丈な体形をした巨大なウミヘビが存在し、そのような種でも自らの生態学的地位を獲得する余地があったことを示している。

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この事例は、適応の過程が一本道をたどることはめったにないと改めて認識させてくれる。パラエオフィス・コロサエウスが原始的な特徴と固有の特徴を併せもつことは、あるひとつの事実を示している。進化とは、環境条件に応じて繁栄できる多様な生物の身体構造を生み出す、連続した実験のプロセスであるということだ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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