北米

2025.06.06 16:00

NASA長官を指名取り消しされたアイザックマン、「マスクとの関係が原因か」と語る

ジャレッド・アイザックマン(Kevin Dietsch/Getty Images)

ジャレッド・アイザックマン(Kevin Dietsch/Getty Images)

トランプ米大統領は、5月末に米航空宇宙局(NASA)長官に起業家でビリオネアのジャレッド・アイザックマンを指名した人事を撤回すると表明したが、アイザックマンは、この撤回の背景に自身とイーロン・マスクとの関係があるかのもしれないと6月4日に発言した。

アイザックマンは、4日にポッドキャスト番組の『オールイン・ポッドキャスト』に出演し、自身の指名の取り消しに「落胆した」と語った上で、そのタイミングがマスクの政府の職務からの退任とほぼ同時期であったことに触れ、「偶然とは思えない」と指摘した。

彼はまた、「その日に報じられたのは1つの退任だけではなかった」と語り、「誰かが恨みを晴らしたいと思っていたのかもしれないし、私は目につくターゲットだったのかもしれない」と付け加えた。

トランプは「徹底的に検討した結果、指名を撤回する」と5月31日に自身のSNSに投稿し、すぐに宇宙において米国を第一にできる新たな候補者を発表すると述べていた。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、アイザックマンが過去に民主党の有力者に献金していたことがトランプによる人事の撤回の背景にあると報じたが、アイザックマンはこの見方を否定し「これは、以前からトランプ政権が把握していた古い話だ」と語った。

彼はまた、トランプの決定を非難するつもりはなく、「大統領とその政策を全面的に支持している」と語っている。

スペースXのミッションに2度にわたり参加したアイザックマンは、宇宙産業を通じてマスクとの関係を築いたとみられている。NYTは、トランプがNASAの長官にアイザックマンを指名した背景に、マスクの働きかけがあったと報じていた。

フォーブスは、アイザックマンの保有資産を16億ドル(約2300億円)と推定している。彼の資産は、自身が創業した決済処理会社のShift4 Payments(シフト・フォー・ペイメンツ)と防衛関連企業Draken International(ドラケン・インターナショナル)の持ち株によるものだ。

アイザックマンの人事の撤回は、トランプによる政府高官の人事の取り下げとしては最新のものだ。トランプは、3月には国連大使に指名していた共和党のエリス・ステファニク議員の指名を撤回したほか、5月上旬にはロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官の顧問でヘルスケア分野の起業家ケイシー・ミーンズを新たに次期医務総監に指名した。

アイザックマンの指名が撤回されたのは、マスクがトランプ政権の政府効率化省(DOGE)の職務を終えた翌日のことだった。マスクは、ホワイトハウスを去る際に、「今後も大統領の友人であり助言者であり続ける」と述べたが、その後はトランプが掲げる大型の税制・歳出法案の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル (大きく美しい法案)」を繰り返し非難し、「法外で醜悪な利益誘導の塊」「おぞましく忌まわしき法案」とまで呼んでいる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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